広島大学病院 形成外科・
国際リンパ浮腫治療センター

医学生の方へ

広島大学医学部のみなさんへ

 現在の広島大学のカリキュラムでは,形成外科の講義は6年間で1回のみ,学生実習も2日半しかなく,全国他大学に比べて広島大学の卒業生は形成外科に関して知る機会が少ない状態です。
 その影響もあるのか,広島県の規模にして,形成外科医の数(人口当たり)は全国平均に届いていません。形成外科医に会ったことが無い,という先輩や,形成外科の看板を見たこともない,という人も多いでしょう。
 確かに国家試験などに出題される分野はほとんどありませんし,「形成外科」という名前からは,何をやっている科なのか想像がつきにくいと思います。
実際20年以上形成外科医をやっている私たちも,やっている内容を一言で言い表すことは難しいです。
 ただ2018年から19基本診療領域の一つとして形成外科は独立し,広島県以上に形成外科医が普及している都道府県の方が全国的には多いのです。

もし形成外科に少しでも興味をお持ちでしたら,文末のリンクをご参照下さい。
 また,臨床実習も2日半しか無いため,折角形成外科の実習に来ても,手術日が休日などで手術を見学出来なかった,という場合もあると思います。
 6年生に臨床実習Ⅱで形成外科を選択していただくか,卒業後に研修で来ていただければ,形成外科についてもう少し深く学ぶことが出来るでしょう。

「形成外科」について調べたい方へ

日本形成外科学会ホームページ

あんたぁ,形成外科の事をよう分かっとるのう!
~広島大学 形成外科ポリクリ学生さんの感想文から見えてくること~

 広島大学の形成外科臨床実習(ポリクリ)では,手術や外来見学,課題図書の感想文やレポート,ビデオやスライドによる座学や講義,時には縫合練習などを行っています。十分なスタッフ数が確保できないことも多く,大変申し訳ないのですが週によって変則的です。
 実習が終わって,提出されたレポートを毎週読んで採点をするのですが,時々「おっ,これは!?」という,なかなかするどい感想を書いてくれる熱心な学生さんがおられます。短い期間に形成外科についてよく勉強してくれたな~,と嬉しくなります(何かのコピペでないことを祈りますが・・・)。そんな感想文の内容を,ぼちぼち紹介していきます。

 ちなみに,広島大学形成外科の学生実習「課題図書」は,これです。
「ブラック・ジャックになりたくて 形成外科医26の物語」
岩平佳子著NHK出版 生活人新書(※絶版)

 形成外科にご興味のある方は,是非!小難しい専門書よりも,学生さんたちに形成外科医の想いが伝わるエッセイ集です。
 自分自身は,形成外科駆け出しの頃に偶然この本を読み,随分と勇気づけられたのを思い出します。ちなみに,数年前ですが著者の岩平先生が広島にご講演に来られた際にお話ししたところ,後日直々に数冊を御寄付いただき,感謝感激でした。

形成外科ポリクリ学生さんの感想文から
見えてくること・・・その20

■形成外科医療は外科医療の中心ではなくその基礎部分になったという箇所が印象に残っている。文章で読むだけでなく、これまでの他科の実習や形成外科の実習を思い返すことでより実感できた。他科と協同的な関係にあり、包括的な医療を行っていくうえでも、医療が発展していくためにも必要不可欠な科であると考えた。スポットライトが当たるようなことはないかもしれないが、縁の下の力持ちでありかっこよさを感じた。形成外科は治療のやりがいをほかの科よりも感じやすいと思いました。医師にも患者さん自身にも目に見える形で治療効果が表れると感じたからです。(2021年7班 S.K.くん)

■手術をすることで以前よりもその人がその人らしく生活できるようにすることも、形成外科の魅力だと感じました。ただスキルがあるというだけでなく、患者さんが術後にどんな形態のものを望まれているかを踏まえた上で、それを再現できる緻密さと妥協しない根気強さも必要だと感じました。
(2021年9班 A.M.くん)

 

■課題図書の「ブラック・ジャックになりたくて」を読み、まず率直に形成外科医ってすごい、と圧倒された。それには二つ理由があり、一つは守備範囲の広さと無限に広がる可能性に驚いたからだ。二つ目は、現代社会を生き抜く我々にとって、いつ何時も容姿は大切であり、一生付き合っていくアイデンティティであることに気付かされたからだ。これまでは、疾患を治療することに比べたら、表面の見た目を元通りに近づけることは患者さんにとって小さなことかと思っていたが、患者さんの立場になって想像するとそれは全く誤解であることに気がついた。
 私も高校生の頃にスポーツ中に相手の肘が額に入り、ぱっくりと割れ目のような傷を負ったことがある。その際に形成外科で縫合してもらったことで、治ることへの期待と安心感で心が救われる思いで、今では自分でも気づかないくらい綺麗になった。思い返すと、当時から医師になることを目指していた私が形成外科の存在を知ったのもその時だったように思う。親身になって治療をして下さった形成外科の先生方への気持ちを改めて胸に刻み、これからどのような形で患者さんと関わるにせよ、そのマインドを忘れないような医師になりたいと思う。(2021年12班 K.K.さん)

■形成外科は一般内科や一般外科などと異なり、あまり馴染みのない診療科の1つではあるが、患者個人のQOLに直結する大事な診療科だと思う。ポリクリの一週間を通してたくさんの知識を蓄えたスペシャルな診療科であることがわかった。
(2021年8班 M.W.くん)

■今回の臨床実習を始める前までは正直なことを言うと、形成外科と聞くと美容外科というイメージが強かったが、形成外科の根本にあるものは「患者のQOLの向上」と「創傷治癒」であることを知った。どの手術も患者の生死に直結することではないけれども、患者のQOLには大きくかかわる手術でやりがいのある科だと感じた。(2023年17班 K.Y.くん)

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形成外科ポリクリ学生さんの感想文から
見えてくること・・・番外編③臨床実習Ⅱ(アドバンス実習生)

■実習で特に印象に残ったことは顔面の半分が手術によって切除された患者さんでも、形成外科の手術によって見た目が元の状態に近くなっていたことです。まさに形成外科は"人々を驚き喜ばせるマジック"であることを実感した次第です。実習内容としては苦手意識があった縫合の練習をひたすら行うことができたのはとても良かったです(2023年1月 Tくん)。

                                    

■アドバンスで形成外科を回らせていただいて特に印象に残ったことは、形成外科のテリトリーの広さでした。手足、それに付随する腕神経叢など神経、顔面再建及び神経再建、乳房再建、脳神経外科が再建をするための大腿筋膜再建、口腔外科、耳鼻科などが腫瘍を取り除いた場所の再建、皮膚移植といった、内臓以外は大体、形成外科のテリトリーというのには大変驚きました。そして再建を必要とされる患者様は皆様異なる場所、異なる形で、その患者様へのオーダーメード再建を必要とされています。形成外科の先生は、どれだけ再建するための選択肢をもち、その人に合ったその人のためのオーダーメード再建を行うことができるのかという点が難しくもあり、非常にやりがいを感じる部分なのではないかと愚考いたしました。

  形成外科は主として命を救う科ではないかもしれませんが、機能的、整容的に辛い思いをされている患者様が再び笑顔を取り戻すために重要であると同時に、そういった方々の最後の希望となっている科なのだということを学べました。4週間、ご指導いただきありがとうございました(2023年2月 Yくん)。

                                    

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形成外科ポリクリ学生さんの感想文から
見えてくること・・・その19

■形成外科は治療のやりがいをほかの科よりも感じやすいと思いました。医師にも患者さん自身にも目に見える形で治療効果が表れると感じたからです。(2021年8班 H.N.さん)

■手術見学中、先生が「形成外科はジェネラルな診療科である」と仰っていたのが印象的である。現在、医学部の座学では臓器別のカリキュラムが中心になっていると思うが、実際の臨床の視点は必ずしも臓器別に整理されるものではない。今回の実習を通して、形成外科はまさにそのような診療科の代表例であると感じており、臨床実習の最初の診療科からこのような対比を経験できたことを嬉しく思う。(2023年23班 A.T.さん)

■形成外科では目に見えないくらい細い血管を針と糸を使っていて、他の外科領域とはかなり別物だと思いました。形成外科医の活躍の場は、他科の先生方とどれだけ連携できるかによると思いました。マイクロサージャリーという形成外科特有の強みを持てたことが他科の先生に頼りにされる武器になったと分かりました。(2021年5班 Y.M.さん)

■形成外科の手術見学で私が最も驚いたのは1ミリほどの動静脈がとても丁寧に、とても綺麗に縫合されていた所だ。臨床実習が始まって他科でも手術を見学する機会があったが他科では扱わないような小さな血管が縫われていくのを見たときは本当に驚いた。形成外科の手術は体の表面を扱い、左右のバランスに十分注意しながら慎重にゆっくりと進めていく必要のある手術なのだということを初めて知ることができた。
(2023年19班 Y.Y.さん)

■身体の見た目は患者さんの生活や心に大きく影響すると思うので、それをできる限り自然に、元に戻ったようにする形成外科の治療は患者さんが満足しやすいものだと感じました。また、カンファレンスにも参加させていただきました。やけどや潰瘍、拘縮など、様々な臓器の様々な疾患があり、形成外科が担う治療が幅広いことを知りました。他科からの紹介やコンサルが多く、他の医療者からも任される重要な治療分野であると思いました。(2023年21班 O.Y.さん)

■私は、「形成外科」と聞いて3年次の講義中に先生が「整形外科や美容整形外科とは異なる診療科である」と言っていたことはかすかに記憶にありましたが、詳しくどのような事をやっているのかはよく分からない状態でした。そのような状態で始まったポリクリでしたが、月曜日のオリエンテーションで基本領域診療科19科の中に形成外科が含まれていることを知り、とても驚いたとともに形成外科が行っている治療にはどのようなものがあるのか興味を持ちました。
 実習を通じて、私は形成外科について本当に何も知らなかったのだと思いました。乳房再建は乳腺外科が、耳の再建は耳鼻科が、皮膚移植は皮膚科が、先天性疾患は小児外科が手術を行っているのだと考えていましたが、実際は形成外科の範囲に含まれていると知り驚きました。今回の実習で以前よりも形成外科に対しての認識を深めることが出来たと思います。
(2021年7班 Y.T.さん)

■実習で形成外科を回るまでは正直なところ形成外科については「何かきれいにする」くらいのイメージしかおらず、具体的に何をみている科なのかということがわかっていませんでした。今回の形成外科での実習を通して、あまり詳しくなかった形成外科の対象となる患者さん、疾患、形成外科の他科とのかかわりなどを学ぶことができました。形成外科では、眼科や耳鼻科のように特定の臓器をみるだけではなく、全身にわたって幅広くみる科であるということがわかりました。
 オペ見学では、乳房再建や眼科底骨折などの手術を見学することができました。乳房再建の手術では、手術が始まったころにはどれくらいきれいに乳房が再建されるのだろうかと思っていましたが、実際に再建されたあとの乳房を見てみると片方の本来の乳房とそっくりのものが出来上がっていて、本当にすごいことだと思いました。再建の際には顕微鏡を使わないと難しいような血管の吻合などを行う必要があり、非常に手先の器用さが必要とされるのだなと思いました。
 今回の実習を通して、形成外科について学ぶ前と比べると随分と知ることができたように思います。また、幅広い疾患を対象としており、自分の知らない役割が勉強するたびに出てくるので、形成外科はとても奥の深い不思議な科だと思いました。1週間という短い間でしたが、ご指導ありがとうございました。
(2023年25班 O.W.さん)

■まず初めに、一週間という短い間でしたが先生方、スタッフの皆さん、ご指導いただきありがとうございました。
 形成外科と聞いて、私の中でまず思い浮かんだのは耳鼻咽喉科をポリクリで回っているときに舌の再建術をされていたことです。耳鼻科の先生が舌癌の病変部位を切除した後に腹部から筋肉をもってきて吻合している姿が印象的でした。
 今回ポリクリで形成外科について学んでいくと、形成外科とは創傷治療のエキスパートであるということを知りました。腫瘍だけでなく先天異常や外傷、美容外科的な側面も含んでいるということがわかりました。中でも、形成外科の治療の最大目的は。患者のQOLの向上であるという点にとても興味を持ちました。もちろん将来医師として医療を行っていく上で、疾患を治療して命を救ったり、延命したりすることは大事だと思います。しかし、私はどれだけ患者さんが自分に自信をもって、自分らしく生きやすい世界で生きていけるかというのも同じくらい大切だと思っています。コンプレックスを抱えながら生きていくのは辛いですし、生きていてもマイナスな感情をずっと抱いているようではある意味で死んでいるのと同じようだと思ってしまいます。患者さんが望む形で社会復帰できるようにサポートをする、とても素敵な診療科だと感じました。
 将来の専門を何科にするのかとても迷いますが、今回ポリクリで回ってみてとても興味が湧きました。またアドバンスでも回りたいと感じたので、よろしくお願いいたします。
(2023年25班 U.S.さん)

■(岩平佳子著「ブラック・ジャックになりたくて 形成外科医26の物語」を読んで)貸していただいた本を読むまでは形成外科なんて、傷口の修復だけをする仕事なのではないのかと思っていた私ですが、この本を読んでイメージががらりと変りました。形成外科とは外的要因や先天的な言葉は悪いけれど異常を直す仕事です。他の人から見たらたいした事のない些細な傷も、命と引換に失った胸も、当事者には大きなコンプレックスとなりえます。それを本来の姿に近づけるだけでなく、精神的治療までを施してしまうのが形成外科医の仕事なのだということを、始めて知りました。(2023年23班 O.K.さん)

■形成外科の実習に参加して、非常に貴重な経験ができました。私は、この実習を通じて、形成外科医が患者に対してどのようにアプローチするかを学び、手術についても詳しく知ることができました。今までの座学で形成外科について学ぶ機会はほとんどなく、今回の実習で実際に手術を見学することができ、治療プロセスを目の当たりにすることは、私にとって非常に感動的な経験でした。
 外来見学にて患者とのコミュニケーションについても学びました。形成外科では、患者のニーズを理解し、患者と協力して治療計画を策定することが非常に重要だと感じました。今回の実習を通じて、患者が通常の日常生活に戻り社会復帰することや患者のQOLを向上させることを目的とする形成外科という領域がいかに重要であるかを理解することができました。患者の考えや気持ちが第一優先であることを理解しつつも、医学知識が先行してしまうことを医学生として考え直さなければならないと感じさせられました。将来、疾患だけではなく、多角的に患者を診ることでより良い医療を提供することができるようになりたいと改めて感じました。
 資料本の「ブラック・ジャックになりたくて」では、筆者の形成外科医としての成長や医療現場における課題について、実際に経験したことが描かれており、大変興味深かったです。本書で最も印象的だったのは、筆者が医師として成長していく過程が詳細に描かれていることです。筆者は、ブラック・ジャックのように予期せぬ事態にも対応できる技術と判断力と熱意を持つ医師になりたいと述べています。そして、現実では手術の技術力だけでなく、患者とのコミュニケーション能力や医療現場での人間関係の構築も必要とされます。医師としての技量はもちろんですが、決して自分の考え方や治療方針が患者にとって最適である訳ではなく、患者一人一人に合った医療を提供するのが医師の役目であることを改めて感じました。
(2023年21班 H.Yさん)

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形成外科ポリクリ学生さんの感想文から
見えてくること・・・その18

■今回、形成外科の手術見学では乳房再建術の手術を見学しました。今回の手術で最も驚いたことは下腹壁動脈と内胸動脈を顕微鏡下で吻合する様子です。2mm程度の動脈を縫合する様子は、極めて衝撃的でした。その後、実際に血流を流すと静脈から血流が見られ感動しました。この血管吻合を含め、皮弁の摘出から縫合までどこを切り取ってもとても丁寧で繊細な技術には驚かされるばかりでした。
 医学はただ、腫瘍を摘出するためだけでなく患者さんの体を元通りにするためにも応用できると感じました。
(2021年9班 Y.Y.くん)

  

■私は生まれつき、おしりに母斑がありました。幸い500円玉ほどの小さいものでしたが、小学生の時に形成外科クリニックで手術を受けました。とてもきれいに治療していただき、今では傷跡はほとんど目立たなくなりました。時々、自分に母斑があったことすら忘れてしまうくらいです。もしあの時手術を受けていなかったら、もしくは大きな傷が残ってしまったら、私の人生は違ったものになっていたかもしれません。怪我が綺麗に治ったり、失った体の一部の再建を受けた患者さんが明るくなっていく様子がとても印象的で、体をきれいに治すということは、きっと心を癒すということと同じなのだと感じました。
 全身を扱う形成外科だからこそ、患者さんの疾患のみに着目するのではなく、患者さんが困っていることや悩んでいることに総合的に取り組むことができるのではないかと感じました。病ではなく人を診るということができる技術というのはとても素晴らしいものだと思いました。
 医師になった時に、形成外科での手術が患者さんの悩みを解決できるかもしれないということを紹介できるようになりたいと思いました。(2023年15班 T.H.さん)

■率直に言えば、今まで形成外科学というカテゴリーの講義を受けたことは少なく、また勉強したことはほとんどありませんでした。そのため形成外科に関する知識はおろか、形成外科学の概要についてもあいまいなイメージしか持っておりませんでした。
 今週一週間の実習期間内では、手術やカンファの見学、縫合の練習もさせていただきました。手術室で執刀医の先生が使っていた糸は肉眼で見ると本当に小さなもので、その縫い目の細かさも私たちが練習中に作ったものとは比べ物になりませんでした。練習の縫合ですら難しく感じていた私にとって、先生方の域に達するにはどれくらいの努力と経験が必要なのかははかり知れませんでした。その反面、一つ一つの手技を上達させる過程は自分の成長を肌で感じることができそうだと考えると、とてもやりがいがありそうだだとも感じました。縫合の練習をさせていただいた時間は実習の中でも特に面白く感じた時間でした。はじめはなかなかうまくいきませんでしたが、先生の手つきと解説から学んで上達する過程が楽しく、つい時間を忘れて縫い続けてしまいました。
 一週間の実習を通して、形成外科のイメージが以前よりもはっきりしたものとなりました。全身が対象となり、手術の種類も症例の個人差もとても多く感じました。とても興味を持つことができたので、今後もより深く勉強して理解を深めていけたらと思います。(岩平佳子著「ブラック・ジャックになりたくて 形成外科医26の物語」)(2023年14班 T.R.くん)

■私が今回実習するまで形成外科とは傷をできる限り目立たなくする、容姿を変えるといった美容外科的側面が強く、またマイナーな科であるというというイメージが強かった。しかし、実習初日から印象が大きく変わった。月曜日のガイダンスの際、形成外科は日本専門医機構が認定した基本的診療科の19科の1つであるということを知り、自分が持っていたイメージとは大きく異なることを知り、衝撃を受けた。
 形成外科が扱う疾患には外傷、先天疾患、皮膚疾患・腫瘍、再建、難治性皮膚潰瘍、炎症性疾患、美容外科といった全身を扱い、診療科も小児科、耳鼻科、整形外科、皮膚科など多岐にわたる。多くの診療科と連携する必要があり、QOLの向上を図る診療科であるため、少なからず評判や形成外科という名前だけでも知られていても良いはずであるにも関わらず、日本では知名度が依然として低いということは疑問が残る。これには以前は限られた大学しか形成外科が存在せず、学生への講義も原疾患と合わせて説明される程度に限定的で形成外科に触れる機会が少ないということ、形成外科以外の科に入局した場合専攻医になった後にも触れる機会が少なかったこと、また日本の場合、形成外科特に美容外科においてタブー視する傾向があることや新しい分野であると思われているため敬遠されがちでるという点から日本では浸透していないのではないかと考えられる。(2021年11班 U.S.くん)

■(岩平佳子著「ブラック・ジャックになりたくて 形成外科医26の物語」を読んで)まず率直に形成外科医ってすごい、と圧倒された。それには二つ理由があり、一つは守備範囲の広さと無限に広がる可能性に驚いたからだ。形成外科ほど、頭から足先まで全身を網羅する外科的処置を専門とする科は存在しないと思う。しかも、全身の処置をするということは限りない数の疾患やその治療、術後に起こりうる病態に遭遇し、立ち会う可能性があり、膨大な知識と経験が必要であるように感じた。(2021年12班 K.K.さん)

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形成外科ポリクリ学生さんの感想文から
見えてくること・・・その17

■形成外科の実習前は、専門性が高く、他科とは一線を画している診療科であるというイメージを持っていた。しかし、形成外科の実習を終えて、形成外科は患者さんの思いやバックグラウンドを考慮して様々な領域の機能・形態を再建し、患者さんのQOLを改善するというとても広い範囲をカバーする診療科であり、むしろ他科と横のつながりが強い科であることを実感できた。また、近代形成外科の歴史が一般外科と比べて浅いだけに、今後さらなる発展が期待できる、とても未来性のある診療科であると感じた。今まで意識してこなかった診療科であるが、今後の形成外科の発展について、今後も興味を持っていこうと思った。(2022年7班 H.T.くん)

■僕が形成外科という分野を初めて知ったのは臨床実習が始まってからです。形成外科が何をする科なのか、いまいちよくわかっていません。ですが、今回「ブラックジャックになりたくて 形成外科医26の物語」を読んで、ある程度どのような症例が来るのか、さらに患者がどのような主訴や背景を持って来院するのかを知ることができました。イメージはしづらくても、形成外科もその他の科と同じように、やはり医師として尊敬されるべき仕事を行っていることは決して忘れてはいけないなと思いました。日本で今、この形成外科の分野に飛び込むことができれば、非常に多くのことを世界にも日本にも学ぶことができ、加えてより重要なポジションにつくこともできます。新しい科は敬遠されがちですが、逆にいえば自由度が高くチャンスが多く転がっていると思います。その意味で、私自身形成外科に対する理解が強くなり、関心が湧きました。
(2022年12班 M.Y.くん)

■以前ポリクリ中に乳腺外科を回った際に、乳がんの手術を見学することがあったのだが、病変を摘出した後に形成外科の先生にバトンタッチされ、続けて乳房再建が行われていたことを思い出した。その時抱いた、乳腺外科や一般外科と形成外科のそれぞれのイメージを述べると、前者は病変に対するアプローチ、後者はその人のQOLに対するアプローチであるように感じた。(2019年9班 O.M.さん)

■(岩平佳子著「ブラック・ジャックになりたくて 形成外科医26の物語」を読んで)今でも医学部の授業では疾患の病態理解と急性期の治療をメインに学ぶが、命に直接関係のない手術痕、ケロイド、先天性奇形、乳房再建、美容整形などは全く学ばない。そのせいか先輩医師らが美容整形を邪道と言ったり、初老の方の乳房再建に意味はあるのか、などと口にするのを耳にすることも実際ある。それでも急性期を乗り切り、日常生活に帰る人にとって容姿は医師が思っている以上にQOLに影響する。同意の上であっても、合法的に人体にメスを入れることが許されるのが医師しかいないのだから、生活に深刻な影響を及ぼす傷跡や容姿を改善することは医師の義務なのだと本書を読んで感じた。

  容姿は他人が思う以上に重要である。特に女性の場合、容姿は非常にデリケートな問題であり、年齢は関係ないのだ。先天的な奇形を持つ患者も同様であり、奇形が原因で学校でいじめられたり、異性との交友や友人との温泉旅行などをためらってしまうことがある。これらの問題を解決することができるという点で、形成外科は非常に使命感や充実感を感じられる魅力的な科だと思った。

  命を助けた後、その先の人生を充実させるための手伝いをすることができる。もちろん命を救うことは極めて重要であるが、「傷痕や欠損は残ってるけれど、生きてるだけで幸福だろう」と医師が決めつけることはできない。医療が進歩し、高齢化が進行する日本においては救命したその先まで手を差し伸べることは深刻な課題であろう。その点では形成外科の認知度を上げていくことが解決のピースになるだろう。
 最後に、整形外科の講義に一回だけ行われた形成外科の講義を思い出しながら、それでも具体的に何を行う科なのかをイメージできない自分にとって、小説形式の実体験からなる本書はある意味で講義よりも形成外科をスムーズに感じることができて有意義だった。(2022年15班 K.J.くん)

■(岩平佳子著「ブラック・ジャックになりたくて 形成外科医26の物語」)この本は、形成外科医である筆者の経験を通して、形成外科とは何なのか、どんな患者を相手にどんな手術をしているのか、といった内容が書かれており、どことなく形成外科に対する印象の定まらなかった私からしていれば、「なるほど、こんなこともしているのか」と思わせる内容であった。
 体の表面であれば全身どこでも形成外科の守備範囲であるような印象を受けたが、体の表面とういのは常に他者からの視線にさらされるものであり、そこをなるべく傷が残らないように、なるべく患者さんの期待通りに手術するというのは、高い技術力とプレッシャーに負けない精神力があってこそできることだと感じた。また、女性でありながら、自分のやりたいと思った方向へぐんぐん進んでいく筆者の行動力に、同じ女性として勇気をもらったように思う。(2016年11班 S.A.さん)

■(岩平佳子著「ブラック・ジャックになりたくて 形成外科医26の物語」)今回この本を読んで、形成外科医である作者の仕事に対する情熱や患者への思いやり、また術後患者が作者に対して見せる笑顔、喜びやその後送る生活に思いを馳せる姿、またそれとは対照的に、ある時は医者の無力さや未熟さを嘆く作者の姿が鮮明に描かれておりとても臨場感に溢れ、面白くかつ自分にとってとても勉強になる本だった。

  特に僕がこの本で感銘を受けたのは患者の生活を術前より豊かで実りあるものに変えようという作者の情熱だった。毎エピソードで何かしらの病気で来院される患者に対し真摯に向き合いそして、医療を手段として患者の術後のQOLを上げようと必死になる作者の姿は私にとってロールモデルとなるような存在であった。
 私も医師になった際には作者のように現状で満足せず、一人でも多くの患者の期待に沿えるように常に最新の情報や技術を追い求めることが大切であると感じた。
 今回の本を読んでも改めて感じたのだが、世の中にはさまざまな社会的背景や家族背景を持った人が存在する。そんな多種多様な患者に対してそれぞれの背景に想いを寄せ、最適な声かけを行う姿も私は見習うところがあると感じた。
(2022年16班 F.K.くん)

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形成外科ポリクリ学生さんの感想文から
見えてくること・・・番外編②臨床実習Ⅱ(アドバンス実習生)

■選択実習で形成外科を選択した2週間を通して特に印象的だったのは、頭頸部再建と下肢切断の手術です。
 頭頸部再建については、これまで見た目の修復を目的として行う手術だと思っていました。実際に見学した手術でも、舌や顎、喉頭などを広範囲に切除した患者さんの欠損部を修復することが大きな目的の1つでしたが、術後も飲み物を経口摂取できるように通り道をつくることも患者さんにとって大きな意味をもつ大切な目的であるということを学びました。また腹直筋皮弁がどのように頭頸部に移植されるのか、直前まで全くイメージできていなかったのですが、実際に移植されていく過程を見ることができて勉強になりました。先生方は術前から全てをイメージして皮弁をデザインされているのだとわかり、とても感動しました。
 下肢切断の手術では、糖尿病を背景に骨髄炎が悪化して切断を余儀なくされた患者さんの手術を見学しました。もともと「切断したくない」という患者さんの強い思いがあり手術を避けて治療を続けていた、という背景を伺っていたこともあり、患者さんの気持ちやこれからの生活を想像すると、実際に切断する瞬間は私自身も胸が締め付けられる思いがしました。また先生が「なんとか下腿切断にならないようにしてあげたい」と仰っていたことがとても心に残っています。
 足の壊疽を起こした患者さんとの向き合い方として、簡単に切断を選択するのではなく、まずは患者さんの思いにできる限り応えられるように考えることが必要だと学びました。今回の手術を通して感じた気持ちを忘れずにいたいなと思います。そして糖尿病の患者さんに限らず、どのような患者さんと向き合う時も、一つひとつの治療の重みや患者さんの気持ち、生活を考えて、自分にできる限りの努力をできる医師になりたいと感じました。(2022年 1月 E.O.さん)

                                    

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形成外科ポリクリ学生さんの感想文から
見えてくること・・・その16

■今回の実習まで自分は形成外科といわれると、美容整形のイメージが強く疾患を治療するというよりは追加でやるもの、希望があればやるものといった印象がありました。しかし、今回の実習を通してその印象は大きく変わりました。その理由の一つとして見た目を整える目的だけでなく、機能を改善する目的でも手術を行うことを知ったことがあげられます。
 形成外科は事実上全身を診る診療科であるということも驚きでした。形成外科には他の診療科のように専門とする特定の臓器(循環器外科なら心臓、呼吸器外科なら肺など)が存在せず、必要に応じてあらゆる臓器、部位を診る必要があります。このようなに全身を対象にとるのは形成外科ならではで、そのためには手術を行う際にその臓器の専門の診療科と綿密に連携をとる必要があると感じました。

  患者さん個人個人のバックグラウンドの違いに目を向ける姿勢は形成外科だけでなく医療全般において必要な姿勢であると感じました。さらに形成外科は命に直結する疾患を扱っているわけではないので、患者さんがどういったことを望んでいるかに寄り添う必要が他の診療科に比べて大きいとも感じました。また、形成外科は主に見た目という変化が身に見えてわかる部分に手を加える科なので、手術による変化が目に見えてわかり医学知識の少ない人でも変化を実感しやすいのも他の診療科と違うところだと感じました。患者さんが効果を実感しやすく治療の喜びを共有しやすいのはやりがいに直結する部分だと感じました。(2022年12班 H.O.くん)

■恥ずかしながら自分は形成外科と聞いてどのようなことをしているか何もピンとくるものがなく、全く想像できなかったのですが、症例の写真などを見せていただき、このような科があったのだと感心しました。お見せいただいた症例の写真の中には、顔面の大きなけがや癌など、いったいどのようにして直せばいいのか全く見当がつかないような症例も多くありましたが、治療後の写真を見ると、もとどおりとはいかないまでも何とか修復されていて、形成外科の力はすごいなと驚きました。
 他科の先生が力を尽くして治療をして、自分たちの守備範囲ではどうしようもできなくなったような症例が形成外科に持ち込まれることも多いとおっしゃっていたので、そういった意味では形成外科は医師が困ったときに頼る医師、医師のための医師ともいえるのかなと思いました。ほかの科と比較して治療に対する患者の満足度や、治療のやりがいなど、かなり高い科でもあるのかなとも感じました。また、手術の内容も本当に多種多様で魔法のような劇的な手術もあってとても魅力的な科だなと感じました。(2022年15班 H.Y.くん)。

■手術見学やカンファレンスでは実際に多指症、合指症、外傷や顔面骨骨折、頭頸部がんの再建、乳房再建など幅広く行われておりなくてはならない診療科であると改めて感じた。医学生でも詳しく形成外科について知っている人は少ないため、まして患者さんの中で形成外科がどういったことをしているか知っている人は少なく、色々な科を受診した末に形成外科に辿り着くというケースは非常に多いのではないかと感じた。
 患者さんは、顔面骨折や様々な切実な悩みを抱えて来院する。著者はこうした訴えに誠実に耳を傾け、信頼関係を築いたうえで治療に臨む。こういった行為が患者を励まし人生を豊かにするという医療の本質が見えたように思う。また、他の人から見たらたいした事のない些細な傷も、命と引換に失った胸も、当事者には大きなコンプレックスとなりえるということをしっかり心に留めておきたいと思う。

  形成外科での手術は急を要さないものが多いが、患者さんとのコミュニケーションの中で、患者さんが本当に求めていることが何かを見極め本来の姿に近づけるだけでなく心まで治すことができるので非常に興味深く魅力的な診療科であると感じた。今回学んだことは将来自分自身が別の科で働くことになったとしても重要なことであるのでこれからに活かしていきたいと思う。
 今回の実習では手術見学やカンファレンスなどに参加させていただき、貴重な経験となりました。今回学んだことを心に留めておきたいと思います、ありがとうございました。
(2022年13班 H.N.くん)

■今回のポリクリで、形成外科で実習を回らせていただいて感じたことは、見た目や機能を回復させるために、十分にこだわりぬかれた再建を行うことが必要であるということです。前の週で耳鼻咽頭科を回った際に、頭頚部の腫瘍で下顎骨、舌、喉頭を摘出した患者さんが、形成外科において遊離皮弁で再建を行われ、その後の様子をカンファレンスで見ることができたことが一番印象に残りました。頸部郭清によって首の動静脈が露出し顎の下半分から喉が全部無いような状態から、皮膚に覆われた顔面と喉、そして、顔面を取り戻している写真をみてとても驚きました。形成外科の歴史を学んでみてもそうなのですが、体全体をみてほかの場所から使える組織をもってきてつなぎ合わせるという手術の工夫と技術は形成外科の醍醐味なのかなと思いました。栄養血管付きの組織をうまく持ってきて組織を生着させるという考え方や、血管吻合という技術を頭に残しておきたいと思います。(2022年16班 Y.S.くん)

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形成外科ポリクリ学生さんの感想文から
見えてくること・・・その15

■私が最も印象に残ったことは、縫合、吻合技術の高さです。腹部遊離弁の乳房再建術を見学した際、他科での手術もたくさん見学してきましたが、縫合の丁寧さと仕上がりにおいて形成外科が群を抜いて綺麗であると思いました。そして微小血管吻合では、緻密さと正確性を肌で感じ、形成外科医の技術の高さを目の当たりにしました。また乳房を再建する際、手術中に患者さんの上半身を起こして左右の乳房の形や大きさのバランスを見ながら入念に確認しており、一つ一つの作業がとても丁寧であり、感嘆いたしました。(2022年9班 K.N.さん)

■形成外科の重要性に反して、本学のカリキュラムでは形成外科領域の教育が不足しているようにも感じた。形成外科に関する講義もあまりなく、今まで⾃分は形成外科に触れる機会も少なかった。そのため形成外科に興味を持つこともなく正直、将来の希望科の1 つに挙がることもなかった。今回の実習に関してもリハビリテーション科と合わせて 2週間という短い期間の実習で、科の要素を感じとるには少し物⾜りないという印象であった。今後のカリキュラムの変更等により、医学部の学⽣が現在よりも形成外科に触れ、その魅⼒や意義を知ることができれば、形成外科に進む医師も増え、より⼀層の発展が望めるであろう。しかし今回の実習でこのようなことに気づけたのは⾮常に⼤きな経験だったと思う(2022年7班 F.M.くん)。

■これまでの実習で見学させていただいた手術の中では、何をしているのかということが一番わかりやすい手術だなと思いました。その後、カンファレンスの見学もさせていただきました。手術でみた乳房再建についてだけではなく、様々な部位の症例についてでした。手術室で、「これ(乳房再建)は形成外科のほんの一部でしかないよ」と言っていた先生の言っていることが少しわかったような気がしました。
(2022年13班 W.T.くん)

■形成外科の扱う領域は、創傷治癒から頭頚部や乳房、皮膚などの手術後の再建、熱傷や外傷後の瘢痕拘縮に伴う可動域制限やケロイドの治療、神経麻痺の治療など、想像以上に幅広く驚いた。形成外科で扱うのは表面の部分だけではなく、糖尿病や喫煙などその人の背景も管理しなければ成り立たない。そういった基礎疾患や生活習慣などに限らず、傷の捉え方も一人一人当然異なる。目の前の患者さんが何に悩み、何を望んでいるのか。治療に伴って何が問題になるのか、どこまでかなえることが可能なのか、またそれをその患者さんが納得するのか。一人一人の患者さんの価値観と向き合う必要があると感じた。ただ、これは形成外科に限ったことではなく、どの科の医者になったとしてもこのマインドを持っていたいと思った。
(2022年16班 S.M.さん)

■僕が思う形成外科について書き記したいと思う。ほかの分野、例えば消化器、循環器などは体の内部に対する医療を行うのに対して、形成外科は体の表面に対する医療を行うため患者さん自身も結果を目視可能であり、それからのQOL向上を大きく担っている科である。しかし形成外科の欠点を挙げるとするのならば、岩平さん(「ブラックジャックになりたくて(岩平佳子著)NHK出版)」)も述べているように形成外科自体がマイナーであることである。僕も形成外科の研究室に配属された当初は友人に整形とどう違うのかと何度も聞かれた覚えがある。形成外科の歴史が浅いため仕方ないといえば仕方ないが、今後形成外科がよりメジャーになり、さらに多くの人が幸せになることができればいいと思う。形成外科というのは,外科医の腕の差が、そのまま患者さんの体表に出る。また,体全体を診なければならない科なため、あらゆる知識がある程度は必要だと思った。(2022年16班 R.M.くん)

 

■治療・手術だけでなくその後の患者さんの生活にまで寄り添って患者さんの期待に応えられることこそが形成外科の醍醐味なのかもしれないと思いました。
次に驚いたことは形成外科医に必要な知識、技術の幅広さです。外傷や再建だけでなく、唇裂などの先天異常などにも対応しなければならないために取り扱う疾患は幅広く、縫合といった技術も磨かないと機能と整容の両方を良くすることは出来ないので、形成外科医になるにはかなりの修練が必要だと思いました。形成外科は体表面を扱うことが多いため、如何に傷が目立たないようにするかにも気を配らなければならないためとても繊細な技術が求められると感じました。
形成外科のカンファレンスを見学して気づかされたことは、手術が成功したか否かは患者さんがその結果に満足しているかどうかという視点が非常に重要だということです。この実習を終える前では、手術の成否は腫瘍切除ができたかどうか、症状が改善したかといった視点で考えていました。しかし実習後には、手術後の整容面にまで気を配り、患者さんがその結果に満足・納得できることで初めて手術は大成功だったと言えるだろうと思わされました。形成外科といえば美容形成のイメージしかなかったが、機能だけでなく形態を治す外科治療を行う診療科であるということが理解できた。
(2022年13班 T.H.くん)

 

■形成外科については、ふんわりとしかイメージがついていなかった。見た目の改善は命に係わるものではないから、失礼を承知で言うと、正直そこまで重要だとは思っていなかった。もし「形成外科ってどんな科?」と非医療従事者の家族などから尋ねられたら「見た目の改善を行っている科」程度にしか言えなかっただろう。
実際に形成外科を回ってみてたり、本を読んだりして、形成外科は思ったより幅広い範囲、すなわち頭からつま先まで、全身を対象にしていることを知った。実習前は乳房再建や瘢痕の治療ぐらいしか思いつかなかったが、口唇裂や口蓋裂、顔面軟部組織損傷や顔面骨骨折など、考えれば確かにといったものではあるが、今まで「そういえばこの手術は何科がやってるんだろう…?」と言ったものが形成外科の分野であったりしたため、驚いたとともに自分の理解の薄さを痛感した。これから、卒後医師になるにあたって、形成外科に進むにせよ、そうでないにせよ、形成外科とかかわる可能性は十分にあり(というより一生関わらないという方が考えづらい)、今後の医療における連携等の点を考えても、今回の実習で形成外科についてどういった科であるのかを知ることができたのは非常に良い経験だった。「人それぞれ何を重要視しており、何をコンプレックスに感じるかは異なる」という、いわば小学校の道徳で教わるような考えをもってすれば、形成外科の重要性が非常によくわかる。医療と言うのは患者の寿命を延ばすだけのものではなく、患者の心身の苦痛をくみ取り、それを取り除くように個別に対応していくものである。そのうえで、形成外科とは、「患者が病気や怪我、治療によって抱えた、自身の形態に対するコンプレックスを外科的手術によって取り除き、患者の心を救う科である。」と言うのが実習を終えて考える「形成外科ってどんな科?」に対する自分なりの回答である。
(2022年8班 H.S.さん)

 

■実際に見学することはできませんでしたが、皮膚以外の移植も幅広くできるということで形成外科はとても魅力的に感じました。微小血管吻合術を用いれば脂肪や骨、筋肉象徴など様々な臓器を血行を保った状態で移植できる(血管柄付き有利組織移植術)というのは頭では理解できても実際にそれを行うには非常に深い専門性が要求されることと思います。消化器外科や心臓血管外科のように臓器特異的な分かれ方をしていない形成外科はそのような移植を全身にわたって行えるということであり他の外科にはできない大きな魅力を感じました。また再建はどの臓器の手術でも必要となることがあり他の診療科の手術の応援に入れるということは患者さんだけでなく他の医師の助けにもなるという点で大きな形成外科の強みであると感じました。(2022年6班 N.S.くん)

 

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形成外科ポリクリ学生さんの感想文から
見えてくること・・・その14

■医者として生きていく中では様々な患者との出会いがあり、その患者たちの思いを特に直に受けるのが形成外科医であると感じた。(2019年14班 Y.T.さん)

■形成外科というのは,外科医の腕の差が、そのまま患者さんの体表に出る。また,体全体を診なければならない科なため、あらゆる知識がある程度は必要だと思った。
(2016年5班 A.F.くん)

■形成外科といえば美容形成のイメージしかなかったが、機能だけでなく形態を治す外科治療を行う診療科であるということが理解できた。(2016年31班 T.N.くん)

■形成外科では、単に疾患を治すことが目的ではなく、その患者の機能や美容を保ち、精神状態を支える、さらにそのことにより患者の社会活動や日常生活に支障をきたさないようにすることが目的であると感じた。そして,形成外科の行う医療は、病気だけでなくその患者の生活やバックグラウンドを考えて施行されるものであると知り、そのことが患者のその後のQOLに直結すると知ることが出来た。(2016年31班 S.K.さん)

■形成外科は、全身が対象となり、そのため他の外科と重なる領域も少なからずあるという点である。皮膚という領域では皮膚科と重なり、手の領域では整形外科と重なる。また、他科の術後トラブル症例も形成外科で扱っている。そのためほかの診療科とのつながりも大変重要であると感じた。
(2020年17班 Y.M.さん)

 

■形成外科は、他科と比べてガイドラインに従って治療するというより、医師自らが発想して最適な手術方法を考えていくという点において、大変魅力を感じました。
(2020年13班 H.I.さん)

■体の表面以外のことでも、縫合や移植のスペシャリストである形成外科が関与することで、よりよい医療が提供できることも大きなメリットである。各科との連携さえ密に取れれば、役割分担することで、専門家がそれぞれの手技に専念でき、総合的な医療の質は上がるからだ。(2020年13班 N.Y.さん)

■穿通枝皮弁による乳房再建を見学しました。実際に見学してみて、顕微鏡を使って血管をつないでいる様子が印象的でした。形成外科といえば、美的センスが必要というイメージでしたが、同時に確かな技術も必要であることを再認識しました。(2019年9班 S.H.くん)

■患者さんにはそれぞれ異なった背景があるので、全員が同じ治療方針でうまくいくとは限らないということはよく考えれば当たり前のことなのだが、教科書を読んで勉強しているだけではついつい忘れてしまっていた。今回の実習とこの本をよんでそのことに改めて気づかせてもらった。患者さん一人ひとりに寄り添って、その人が何を望んでいるのかをしっかり把握したうえで治療を行うということは、将来どの科に進んだとしても重要になってくると思うので、その気持ちを忘れずに今後の医療人としての人生を歩んでいこうと思った。
(2021年10班 M.S.くん)

■実習が始まるまでは、形成外科は私にとって縁のない身近な存在とは言えるものではないと感じていた。しかしながら今週の実習、そして貸していただいた本(岩平佳子著「ブラック・ジャックになりたくて 形成外科医26の物語」)のおかげで、その先入観は180度覆された。形成外科は患者の生活に密接に関与し、QOLを劇的に向上させることの出来る科だ。
(2020年16班 K.E.くん)

■(岩平先生の「ブラック・ジャックになりたくて 形成外科医26の物語」)実習でこの本を渡されたとき、論文のような堅苦しい文章が続くと思うと読むのが億劫だったが、読み始めるととても読みやすい文章で、形成外科の面白さがすごく伝わってきた。形成外科がもっとメジャーになればいいなと思った。(2017年26班 Y.T.さん)

■乳房再建を見学した。比較的高齢の女性がこの手術を受けていることが分かった。これに関しては男性の立場から考えるのは難しいものだが、医師となる上では患者の立場に立って物事を考えることは、自分が考える理想の医師像であり取り組まなければならない永遠の課題である。本(岩平先生の「ブラック・ジャックになりたくて 形成外科医26の物語」)の中でも、多種多様な患者の背景に合わせたニーズに答えようと筆者が必死にもがく姿が描かれているが、それこそが形成外科医のあるべき姿なのではないかと自分は考えた。
(2019年24班 N.M.くん)

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形成外科ポリクリ学生さんの感想文から
見えてくること・・・その13

■『私はこの科で実習するまで形成外科に関する認識がとても浅かったです。そもそも形成外科と整形外科の違いもよく分かってなかったです。しかし貸していただいた本(「ブラックジャックになりたくて(岩平佳子著)NHK出版)」)や頂いた資料を読んで形成外科という領域では何を扱い、どのような医療を提供するのか、という骨子を学ぶことができました。私はまだ22年しか生きていない若輩ですが、それでも最近は『見た目』の重要性を感じる機会が多くなりました。外見は社会生活を送るうえで何をするにしても人生に大きな影響を与えるファクターだと思います。そんな外見の悩みを手術で解決する、というのは限られた人間にしかできない崇高な天命だと感じました。』(2022年15班 K.N.くん)

■『形成外科の症例の場合は、治療しなかったとしても命に別状はない、ということも少なくないのではないかと考えられます。そのために、長年悩んできた患者さんも多く、外科手術によってそうした悩みを解決し生活をより豊かに、心身ともに健康へと導くのは唯一無二の診療科と言っても過言ではないと感じました。患者さんの数だけ物語があるのはどの領域も同じだとは思いますが、形成外科の場合は特に治療後の患者さんの生活や心の変化が前向きな意味で気になってしまうのかなと、勝手ながら推測します。それから、扱う領域が頭から足まで、というのも外科としては珍しいと思いました。位置によっては皆が避けるような傷の治療も任されるそうで、なんて頼もしい先生方なのだと感心致しました。』(2021年10班 S.R.くん)

■『私は実習が始まった段階で、「形成外科って何をしているところ?」という質問に答えられなかった。それまでに聞き及んでいただけでも、扱う範囲があまりに広範であったため、一言で述べられなかったからである。イメージとしては漠然としたものはあったが、それを言語化し他者へ伝達できるほどの知識を持ち合わせていない。そのことを、質問されて初めて自覚した。実際に日々の実習に参加している医学生の端くれである私でさえそうなのだ、一般的な認知度・理解度はそれよりも更に低いのではないだろうか。』(2018年25班 S.S.くん)

■『深刻な病気で苦しむひとがたくさん存在する一方で、病気ではなくとも自分の見た目や術後瘢痕などでたくさん苦しみ日常生活を楽しむことが出来ない人もたくさん存在する。医師として病気自体を治癒させることももちろん重要視されるべきではあるが、患者さんには一人ひとりにかけがえのない人生があり、病気や奇形を乗り越えた後もずっと人生はつづいていく。形成外科は患者の人間らしい生活を取り戻すための一助であるという点でもっと世間にも認識されるべきである。私たち医療者としては、死期が近づいていたら自分の見た目のことよりも残りの短い人生でやるべきことがあるように思ってしまう。しかし患者としては残りの人生を、他の人と同じようにいわば「普通」になって生活したいという思いがあるのだろう。ここに人間としての尊厳を保つために外見や見た目が非常に重要なポイントになることが読み取れた。患者のQOLをあげることを目的とした医療を施すことが現在よりも世間に広く認知されるべきだ。』(2022年15班 H.S.さん)

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形成外科ポリクリ学生さんの感想文から
見えてくること・・・番外編①臨床実習Ⅱ(アドバンス実習生)

■『2日半のポリクリでは不十分で,形成外科を選択してさらに2週間実習して下さった方の感想文です。さらに「濃い」形成外科の世界を覗いていただけたようです!!』

■『ポリクリはオンラインだったのですが、アドバンスでは手術見学ができてよかったです。様々な種類の手術を見学でき、形成外科が非常に多様な手術に関わっていることを知れました。』(2022.06実習 6年生S.M.くん)

■『形成外科の講義は3年のたった1コマだけ、ポリクリも2日半と限られた時間でしたがその短い時間でも非常にインパクトがあったこともありアドバンスで形成外科を選択しました。
2週間のアドバンスの実習の終わりに先生から「形成外科どうだった?」と尋ねられた際、私は「少し変な喩えかもしれないですが……」と前置きをして「ホームセンターとか東急ハンズのような科だと感じました」と答えました(失礼だったかな、怒られないかなと思いながらだったので、先生が笑いながら同意して下さって安心しました)
何を取り扱っているのかと言われれば「眼科」や「皮膚科」のようにはっきりとした範囲があるわけでもなく、「麻酔科」や「救急」のように何をしているのかはっきりして示している訳でもないけれど、全身の広い範囲を取り扱い、様々な術式を使い分けるところが「コレを売っている店」と明確に言い表せないけれども行けば大抵の物が置いてあり何かしらの解決策が見つかるホームセンターのような店に似ていると感じました。
形成外科が扱う症例の中でも乳房再建や口唇口蓋裂のような比較的頻度の多い症例には決まった術式があるけれど、それ以外の大多数の症例ではコレが正解というものがないと先生方がおっしゃっていたのはとても印象的でした。模範解答が無いなかで様々な材料を用いるなど、それぞれの患者さんにとって何が良いのかを常に考えている先生方の姿勢にとても感銘を受けました。また、他科と連携して治療にあたる場合も多く、先生方の引き出しの多さに感服しました。
将来形成外科に進む場合はもちろん、他の科に進んだ場合でも形成外科と連携する可能性はあり、その際にどのようなことが出来るのか知るという意味でも今回の実習で形成外科についてより知ることが出来、とても実りある実習だったと感じました。』(2022.07実習 6年生K.T.さん)

■『形成外科をアドバンスで回ってみて印象が大きく変わりました。今まで形成外科は傷をきれいに治す科という印象があったのですが、外来で来る患者さんが多岐にわたることが分かりました。広い範囲で診療していて患者さんの様々な要望に応えていました。
 皮膚の縫合の練習や実際にする機会があったので満足しています。また、広大の形成外科が微小血管吻合など最先端の技術を使って治療していることを理解できました。将来、必要とされる重要な分野なので興味がわきました。』
(2022.09実習 6年生O.T.くん)

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形成外科ポリクリ学生さんの感想文から
見えてくること・・・その12

■『形成外科という科が、どのような科であるのかを正確に把握するために、インターネットで調べてみました。私が調べたホームページには、「形成外科とは、先天的、好転えきな身体外表の形状、色の変化、すなわち醜状を対象とし、これを外科手技による機能はもとより形態(美容)解剖学的に正常(美形)にすることを手段とし、個人を社会的に適応させること目的とする科である」と書かれていました。これでは漠然としすぎており、形成外科が一体どのような手術を施しているのか、分かりません。そこで、この「ブラックジャックになりたくて(岩平佳子著)NHK出版)」を手に取って読んでみることにしました。読んでみると、形成外科はやけどの治療(皮膚移植などの手術、やけどの傷の治療)、顔面骨骨折および顔面軟部組織損傷、口唇裂、口蓋裂、手・足の外傷、眼瞼下垂、副耳や耳の形の奇形、正中鼻裂、漏斗胸、乳房欠損、包茎、母斑、血管腫、腫瘍およびそれに関連する再建、瘢痕、瘢痕拘縮、ケロイド、難治性潰瘍、褥瘡、美容外科(二重やしわとり、コラーゲン注入、しみの治療)など、そのほかにも様々な治療を行っていますが、頭からつま先まで全ての領域を治療しているということが分かりました。』(2016年31班 I.W.さん)

■『幸せだと感じる基準は人それぞれであり、形成外科医はそれぞれが幸せになる手伝いをする。そんな仕事なのではないかと感じた。』(2020年20班 M.Y.くん)

■『今回の実習の初日にも、心臓外科の手術後の傷の治療を依頼されていたが、このような協力関係こそ、形成外科の重要な役割の一つであり、形成外科が高度医療を行う病院で不可欠な理由なのだと思った。私は今まで、将来は内科医になろうかと考えていたが、外科の基礎ともいえる形成外科について学んで、将来の選択肢として外科系も考えてみようと思った。』
(2020年4班 M.A.くん)

■『今週のポリクリを回るまで、形成外科という科は、聞いたことがあるくらいで何をしている科なのか、形成という言葉で少し想像できるくらいでしかなかった。ところが臨床の場を見て、本(岩平先生の「ブラック・ジャックになりたくて 形成外科医26の物語」)を読み、その内容が少しずつ分かってきて、魅力に惹かれている自分もいる。』
(2020年13班  Y.N.さん)

■『体表面を手術するため、改善が目に見えて分かり、よくなったという実感が強いのが形成外科の特徴だと思う。自分が長く悩んでいたコンプレックスが解消されれば気持ちまで明るくなる。生命に直接関わることではないにせよ、患者さんも今後長い人生を歩んでいくことを考えれば明るく生きることは大事なことである。形成外科は歴史としては長いものの、日本ではまだ「美容形成」のイメージが強く、負のイメージを抱いている人も少なくない。しかし、患者さんの今後の病気の痕や、悩みを気にすることなく元気に暮らしていくために重要な役割を担っている。今回の実習で少なくとも、医療者になる者として形成外科に対する正しい認識を持っておこうと思った。』
(2020年13班 A.M.さん)

■『医学生でさえ、形成外科の知識をあまり持っていないのだから、患者さんが分からないのも無理はないように思った。形成外科をもっとアピールしていくためには形成外科に関わる人をもっと増やしていかねばならないだろう。現在の日本人の価値観は昔に比べると大きく変化しているように思うので、楽観的ではあるが形成外科に関わりたいと考える人は自然に増えていくようにも個人的には考えている。』(2017年4班 K.W.くん)

■『再建外科は「やけど」や「乳房再建」に限らず、全身のあらゆる部分を再建するため、他の科の様に特定の臓器にこだわらず、そのため学生としては(おそらっく世間からも)何をしているのか良くわからない、何となく名前が似ているから美容整形?というイメージを持たれているのだと思います。形成外科への誤解・偏見を無くすには、形成外科医がこのように積極に医療者・非医療者にアピールして行くことが大事なのだと思います。この本を読んで大いに形成外科に興味を抱いたので、ぜひポリクリや研修で形成外科を選択し、学んでいきたいと思います。』(2017年1班 M.H.くん)

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形成外科ポリクリ学生さんの感想文から
見えてくること・・・その11

■『患者の思いや生活背景を理解して問題を手術で解決する仕事は、患者から大変感謝される仕事だと思った。乳房再建に代表されるように形成外科で扱う手術は、機能だけでなく外見やその後の生活を踏まえた手術が多い。患者にとっては、がんや先天性疾患のステージや分類よりも、治療後の生活で身体的、身体的、社会的に支障がないかが重要であると思う。その意味で形成外科は退院後の患者の、特に精神的な部分に大きく貢献している。今後も形成外科で学んだ患者の思いや生活背景、退院後の患者の生活にも目を向ける姿勢を忘れずに実習していきたい。』(2017年18班 Y.Wさん)

■『手術で見学させていただいたのは、乳房の再建手術で、お腹の皮膚・脂肪を胸に持ってくるという手術でした。・・・・形成外科の手術では、傷が目立たないようにする、乳房の再建をするなど、その結果は患者の主観的な満足度で決まってしまうように思います。そのため、他の科よりも患者さん自身の意思をきちんと理解して尊重してあげることが必要だと思いました。』(2017年26班 N.H.くん)

■『一般的な外科は、分かりやすく癌やその他の腫瘍を切除するなどの手術を行い、そして腫瘍を取り切れたことに満足して患者さんを送り出しているが、その後患者さんは様々な悩みを抱えるはずだ。傷跡を誰にも見られたくない、肺を切除され死は免れたものの少し息は苦しい、など患者さん個々が感じるレベルの問題に関しては、外科はあまり関与しない印象がある。しかし形成外科は、疾患だけを相手にするのではなく、患者さん個々人を相手にし、悩みを解決できる貴重な科であると感じた。形成外科は見た目など生活に直結はしないが、人の目が気になって○○できない、など間接的に生活の質を下げる要因になることを解決しているのではないかと考えた。どちらかというと形成外科は、患者さんの心に寄り添った治療を行っていると感じた。(形成外科とリハビリテーション科)二つの科を回って、医師は疾患を見つけてそれを治すだけが仕事なのだろうかという疑問を持つことができた。しかし、生活まですべてを見せようとすると医師の仕事が増えすぎるのかなとも感じた。やはり治療に徹する人は必要で、形成外科やリハビリテーション科など患者さんの生活に寄り添う科も等しく重要であり、人材が必要な分野であると感じた。』(2019年3班 Y.D.くん)

■『小児科と形成外科のように、医療において専門は多くに分かれているが、実際はどの科も他科との関連性や共有する疾患がある。そのため協働性を理解し、チーム医療を円滑に機能させる上でも、研修医は進む専門だけでなく、協働する他科についても意識し修練を積まなければならないと思う。わたし自身もこの考えを忘れずに研修に励みたいと思う。』
(2019年3班 S.K.くん)

■『この本(岩平先生の「ブラック・ジャックになりたくて 形成外科医26の物語」)を読んで思ったことは、形成外科は網羅する範囲が広くて難しいなというところです。消化器外科では、消化器を主に見ればいいし、眼科ならば眼を主に見ればいいのに対し、形成外科は鼻や耳などの顔面から、乳房、生殖器など施術する範囲が広く、また、子どもから高齢者まで幅広いという点で、難しさを感じました。それだけ覚えるべき知識も多く、また死に直結するような疾患をみるような科ではないため、手術の際のマニュアルなどもあまりなく、臨機応変さも必要だと思いました。
 広島大学では他の大学と比べて形成外科の医局が小さいと聞き、今後もっと発展していくといいなと思っています。というのも、形成外科は他の科の手術と共存して行える科だと思うので、傷跡が残りにくい縫い方や、周りからの手術後の見え方などの知識を十二分に持っている形成外科と協力して手術が行えるようになると、もっと患者さんの満足度が増す手術を行えるのではないかと思います。』(2017年20班 T.H.くん)

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形成外科ポリクリ学生さんの感想文から
見えてくること・・・その10

■『形成外科の実習で一番印象に残っているのが、皮膚がんによって失われた頭髪部分に、頭髪を移植するためにバルーンを入れて膨らませることで、頭皮を伸ばし、その伸びた部分を失われた部分に移植するといった内容の手術(組織拡張法tissue expansion)でした。頭皮の移植にこんな画期的な方法があることに驚きました。』(2020年13班 K.N.さん)

■『形成外科は、がんなどの疾患により正常の構造を失った患者から、お金を払ってコンプレックスを解消しようとする人まで、対象とする疾患も人も多岐にわたる点が興味深い。』(2019年7班 K.Y.さん)

■『一口に乳房の再建をすると言っても、その目的、やり方は様々であった。治療に一つの正解があるわけではなく、患者の希望をしっかりと読み取り、それに最も合う方法で行っていく。今まで、医学部での試験の際には「この疾患にはこの治療」という風に学んでいたが、形成外科医の行う治療は大きく異なっていた。治療を行う症例も患者も、とても多種多様であることが形成外科の特徴なのではないかと思った。』
(2020年13班 K.N.くん)

■『形成外科は人の命を救う仕事ではなく、医者と呼べるのかという思いを持っていましたが、この本(岩平先生の「ブラック・ジャックになりたくて 形成外科医26の物語」)を読んで、命を救うことはないが、患者さんの人生をよりよくするためにとても重要な科であり、他の科以上に患者さんのことを考えて、コミュニケーションをとりながら診察していく必要がある科だなと感じるようになりました。』
(2016年8班 O.M.くん)

■『この本(岩平先生の「ブラック・ジャックになりたくて 形成外科医26の物語」)を読んでわかるように形成外科は様々な科に関わる疾患を取り扱っている。このことがら疾患の治療を終えた患者さんに対しての最後の仕上げをするような科でもあるという印象を受けた。最後の仕上げをして、患者さんに胸を張って社会に戻ってもらうまでが医療の役目なのだろう。自分もどの科の医師になっても、患者さんの持つ疾患の先に見えていいる問題も解決できる、本当の意味で人を癒すことのできる医師になりたいと思う。』(2016年29班 Y.S.くん)

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形成外科ポリクリ学生さんの感想文から
見えてくること・・・その9

■『治療の成績というのは、術後の血液検査データであったり、CT,MRIなどの画像所見によって判定されることが多いと思います。しかし、実際に患者さんにとっての治癒とは、痛みが亡くなったか、体力が戻ってきたか、元通り動くようになったか、といった、生活における問題点が解決されたかどうかにあると考えます。そういった点で形成外科は患者さんの悩みをダイレクトに解消してあげられる、すなわち患者さんから最も強く感謝される科ではないかなと感じました。』
(2017年18班 I.T.くん)

■『乳房再建術とは、疾患に対する機能回復を目的としたものではなく、女性の象徴とも言える乳房に対する患者の喪失感を補う手術であり、患者の思いや生活背景を知ることが必要不可欠である。つまり、患者の背景とは十人十色であるため、患者に焦点を当てなければ出来ない手術である。
私の中では、内科系の方が人としての患者を相手にしており、外科系は予め診断のついた疾患に対して決められた手術を行い、疾患としての患者を相手にするというイメージがあった。今回の形成外科の実習を通して、このイメージは大きく変わった。』(2017年18班 Y.W.さん)

■『ほかの科でも言えることではあるが、患者の生活と密接にかかわる手術を行う科である形成外科では特に患者とのコミュニケーションが重要となってくる。文明が発展し、医療の現場にAIが台頭してくるであろう近い将来において、そういった患者とのコミュニケーションという部分が人間と機械の差別化を行うことができる大事なポイントなのではないかと思った。』(2019年3班 S.Y.さん)

■『(岩平先生の「ブラック・ジャックになりたくて 形成外科医26の物語」を読み)こんな先生に出会えたら患者さんはどれほど幸せなのだろうと思った。そして沢山の患者さんの命のきらめきを間近で感じられる形成外科医という仕事を、心から素晴らしいと思った。形成外科に限らず、本来医師という職業のやりがいは、患者さんの思いを感じ、共に悩み、(どんな結果になるか確証はできないが)幸せを願い続けることにあると思う。医師は理系職でありサイエンティストでもあるが、この「人間臭さ」は他の理系領域とは一線を画す部分である。だからこそ、私達は悩む。医学的な正解が、患者さんにとっての正解とは限らないからだ。医学的な正解と道徳的な正義もまた違う。ブラックジャックの恩師・本間丈太郎も「人間が生きものの生き死にを自由にしようなんておこがましいと思わんかね」という言葉を遺している。そしてその言葉に、孤高の天才外科医ブラックジャックでさえ迷い悩み、向き合い続けるのである。それらを全て踏まえて、内科志望である私も「ブラックジャックになりたい」と思った。天才外科医でなくとも、この本と形成外科の実習から学んだ「サイエンスと人間臭さのはざまで働くことの誇りと幸せ」を、これからも忘れないで生きていこうと思った。』(2019年3班 T.K.さん)

■『(岩平先生の「ブラック・ジャックになりたくて 形成外科医26の物語」を読み)私も、ブラックジャックになりたくて、皮膚を綺麗に縫合したり、他の誰も直せないものを手術で治したりしたくて医学部に入ったつもりだった。しかしいつの間にか、私の5年間も、ただテストや実習をこなすだけの毎日に成り下がっていた。ところが、この本の筆者も、5年間の過ごし方は似たようなものだったと前書きにあり、とても安心した。筆者のようにいい出会いをものにし、得た機会を逃さないように努力すれば、ここからの大逆転も望めるのだと知ることができ、勇気とやる気をもらうことができた。この本のお陰で視野が広がり、自分の中にある様々な目盛も一つ上がったような気がした。』(2018年25班 K.M.さん)

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形成外科ポリクリ学生さんの感想文から
見えてくること・・・その8

■『ある疾患にはこの治療法、といったことが通じることが多いのは、他の診療科では当てはまるかもしれないが、形成外科ではそうはいかない。形成外科とは、模範解答がない学問である。教科書的な知識よりも今まで自分が学んできたことを患者のニーズに合わせてどのように生かしていくか、というのが最も重要である。と教授に教わり,感銘を受けました。』
(2019年24班 M.N.くん)

■『形成外科の面白いところは、疾患を直接治療するだけでなく、疾患に伴う体表面の問題や先天的な問題などを治療することで患者さんの心を回復させることが出来ることであると思う。患者さんにとって、見た目の問題が少しでも良くなることは、時には病気が治癒するより喜ばしいことかもしれない。それだけ、私たち人間にとって容姿や見た目は重要な問題だと思うし、問題を抱える患者は、家族や周囲の人間がたとえ気にしなくとも、気にしてしまうものだと思う。』
(2019年24班 H.N.さん)

■『どんな手術でも、術中はドレープというブルーシートを掛け、手術部位のみを露出する。その露出部の中で最善を尽くすのが、一般的な外科の仕事であり。それも正直、その下にどんな患者が寝ていようが、ドレープに空いた穴から見ることが出来る病変に対する術式を取るに過ぎない。もちろん術前にその患者の病歴や背景を考慮しているのは当然であるが。
一方で、形成外科はそのドレープの下に寝る患者の全身を見た手術が行われているように思えた。手術部位に対してのアプローチ以上に、全身を通じた乳房のバランスや傷の大小まで、入念に設計された設計図に沿って仕上げていく、まるで芸術作品を仕上げる職人のような印象だった。他の外科よりも一層、生まれながらのセンスや美的感覚が必要な気がした。』
(2019年9班 O.M.さん)

■『形成外科の手術見学をしたときに、乳房再建を見たのだが、手術したのが噓のように左右差がなくなっていて、魔法のようだと感じた。語彙力がなくてどう言えばいいか分からないが、とにかくすごかったです。』(2019年9班 T.K.くん)

■『医師として患者の望む治療を施すことは患者にとって有り難いことであるかもしれないが、逆に、患者の治療に臨む勇気や医師に対する信頼、術後の明るさなどが医師にとって、医師としての仕事をしていく糧になるのであろうと思った。』
(2018年5班 N.M.さん)

■『どれだけ丁寧にインフォームドコンセントをしても、患者さんの思ったようになっていなければ治療が失敗だととらえられてしまうことがあり、形成外科の医師の技術は高いものを要求されるのではないかと思いました。ただしそうであっても治療を行った結果患者さんが非常にポジティブになって帰っていくという様子をみられることは形成外科の先生方のやりがいに直結しているのかと感じました。』(2020年10班 N.K.くん)

■『形成外科は、患者の疾患を治すだけでなく、患者のQOLを上げることが診療の目的であることが分かりました。ただ、自分が受けた外傷の治療を行うだけでなく、美容や口唇口蓋裂などの先天奇形や難治性皮膚潰瘍などの疾患も扱っていることが今回分かりました。また、刺青の後処理なども本も書かれていて、形成外科の守備範囲の広さにびっくりしました。』
(2020年10班 Y.A.くん)

■『生活に支障が出てしまう傷を治すことが,これからを生きていくための活力になると学びました。・・・形成外科はその先の障害を取り払う診療科ということで魅力を感じました。』(2019年14班 F.S.くん)

■『(岩平先生の「ブラック・ジャックになりたくて 形成外科医26の物語」)この本を読み、コンプレックスを治療し、患者さんのQOLを上げる、精神面をリカバーする、といった点では、「精神外科」「診療外科」的な側面のある科なのだな、と思いました。精神科が心という目に見えないものを治療する一方で、つくることで精神面を治す、という目に見える形で心のケアができる形成外科は医師のやりがいにも直結しそうだと思いました。』(2017年12班 Y.K.さん)

■『今回の臨床実習では大学病院の形成外科で主に乳房再建の患者さんを見てきましたが、この本を読んで市中病院やクリニック、美容外科の先生の仕事や患者さんとの関わり方を見てみたいと感じました。これまで授業もほとんどなく、知識としても市民としても関わることの少なかった形成外科について仕事の内容や魅力などを感じ取ることが出来て、さらに形成外科の魅力が詰まった本(岩平先生の「ブラック・ジャックになりたくて 形成外科医26の物語」)に出会うことが出来て、2日半という少ない時間でしたが、とても内容の濃い実習になったと思います。』(2019年24班 S.Y.くん)

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形成外科ポリクリ学生さんの感想文から
見えてくること・・・その7

■『形成外科がどんなことをしている科なのかを知ったのは、3年生の形成外科の授業時だったと思います。それまでは、恥ずかしながら、科の名前すら碌に聞いたことがありませんでした。私の記憶している限りでは、膨大な授業数の中で形成外科の授業はたったの1コマだったと思いますが、私の中ではパンチのきいた1コマでした。火傷で皮膚がなくなった部分に別の部位の皮膚をメッシュ状にして移植したり、バラバラになった指や四肢をつないだり、エクスパンダーを用いて皮膚を拡張させたり・・・とにかく画像としてとてもインパクトが強かったです。大体の外科は、悪いものを除去することで治療するイメージなのですが、作り直すことで治療する形成外科は私の中で特異な存在の科でした。将来外科系に進むのならば、形成外科は一考の余地のある科だと感じました。』(2017年12班 Y.K.さん)

■『乳房再建術を見学して、ただ単に欠損部位を補うという目的ではなく、左右の対称性や,実際の生活でどのような形が自然で違和感を最小限に抑えることができるか,に重点を置いているということを強く実感した。患者自身の目にもよく見える部位であるために、治療方針の決定には患者本人の意思や,生活習慣が強く関係していると理解した。・・・・これまで形成外科については3年次の1回の講義での知識しかなく、漠然と乳房再建や皮膚の綺麗な縫合を行う科、という認識であったが、今回のポリクリで以前よりも深い認識ができるようになったと感じている。』(2017年31班 I.K.さん)

■『形成外科の手術の到達点は、ただ治すだけでなく、その外見も含まれます。外見上の傷を「限りなくゼロ」に近づけるべく、とても細い糸で細かく縫っていくというのは、他科にはない情熱を感じました。・・・・医療が人を治療するだけでなく、その結果その人の人生に関与しているのだということが良く分かる科だと思いました。』(2017年26班 K.S.さん)

■『全ての外科に共通して有用な手技(創傷外科やマイクロサージャリー)を形成外科は持つため、協力して外科手術を行うことが最近の手術ではよくみられる点で、ほとんどすべての外科系各科と共同的関係にあり、スペシャリティの面でもチーム医療の面でも今日の医療に求められているものに応えていっている科という印象を覚えた。・・・器質的疾患のみならず、精神的な部分にまでも範囲が及ぶ形成外科はこれからの医療で重要な位置にあると思う。このようなことから、日本専門医機構が認定した基本領域診療19科のなかで形成外科が最も時代の様々なニーズに則した科であるように感じた。』
(2020年20班 U.Y.くん)

■『遊離皮弁による乳房再建と、リンパ管静脈吻合を見学しました。今回の実習で感じたのは、形成外科で扱う手術には大掛かりなもの、集中力の持続が必要なものも含まれており、形成外科はかなり体力勝負な科だということです。そして、体力勝負でありながらも、細かい縫合が多く、繊細な作業が出来る必要があり、かつ見える範囲を担当するため、センスも必要という、形成外科医になることのハードルの高さを感じました。形成外科の先生方は凄いな、というのが建前でない、素直な感想でした。』(2020年17班 I.S.さん)

■『今回の臨床実習で、自分が形成外科について全くの無知であったということに気づいた。そもそも外科に分類されているものだと思っていたので、基本診療科19科のうちの一つを占めるほどのものだとすら知らなかった。』
(2020年17班 T.N.くん)

■『遊離皮弁による乳房再建と、リンパ管静脈吻合を見学しました。今回の実習で感じたのは、形成外科で扱う手術には大掛かりなもの、集中力の持続が必要なものも含まれており、形成外科はかなり体力勝負な科だということです。そして、体力勝負でありながらも、細かい縫合が多く、繊細な作業が出来る必要があり、かつ見える範囲を担当するため、センスも必要という、形成外科医になることのハードルの高さを感じました。形成外科の先生方は凄いな、というのが建前でない、素直な感想でした。』(2020年17班 I.S.さん)

■『形成外科とは治療の焦点を疾患や病変より、一個人としての患者に当てていると感じた。大学病院という広島の基幹病院で臨床実習を行っていると、患者は疾患という問題を持った人であり、座学で学んだ通りの治療を行うことで問題を解決するという様に認識してしまう。私たちの普段の実習では、性別や生活背景などの個人の特質を除外し、一度患者を一般化した上で疾患や病変をあらかじめ決まっている基準に照らして治療するのがオーソドックスである。しかし、形成外科は一個人としての患者に焦点を当てることが重要であると思う。私は特に乳房再建で特にこの思いを感じた。』(2017年18班 Y.K.さん)

■『(岩平先生の「ブラック・ジャックになりたくて 形成外科医26の物語」を読んで)この本を読んで、最初に気づいたことはこの本ではどのような疾患や症例だったかではなく、患者さんとの会話などを描き、どのような人物を治療したかということに重きを置いて表現していることだ。これには筆者の医療とはどういうものか、という考え方が現れていると思う。医療が対象にしているのは病気ではなく、身体的、精神的、社会的問題を併せ持った人そのものであるという筆者の考え方である。僕自身、大学に入って医学を学ぶまではほとんど意識してなかったことであるが、この考え方はたとえどの科の医師になったとしても忘れてはならないことであり、その医療のいわば本質を体現しているのが形成外科という科だと思った。』
(2016年29班 Y.S.くん)

■『(岩平先生の「ブラック・ジャックになりたくて 形成外科医26の物語」)この本を読み、形成外科に対する印象が少し変わった。以前までは形成外科がやっていることはよく分からなかった。形成外科は美容外科のイメージが強かった。それ以外は何をやっているかは余り知らなかった。この本を読んで分かったことは、形成外科では体の表面の変形などに対して、機能や形態を正常化することを目的としているようだと言うことだ。形成外科は、単に傷あとを奇麗にしたり、美容をするだけの診療科ではないのだと思った。』(2017年26班 M.Y.くん)

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形成外科ポリクリ学生さんの感想文から
見えてくること・・・その6

■『他の科の疾患は治療が上手くいったかどうかは検査値として数値化されたものを見ればいいが、形成外科の治療は患者さんの主観で決まることもあり、患者さんの要望を上手くイメージできるかが重要だと思った。』(2016年5班 F.A.くん)

■『形成外科での仕事は、他のどの科よりもただ単に病気・創傷を治療するだけではなくて,患者さんの心に存在するしこりのようなものも一緒に取り除き、今後の人生をより良いものに導くものであると感じた。』(2020年16班 E.K.さん)

■『私も漫画「ブラック・ジャック」を読んで医師という仕事を想像していたのだが、苦労して医学部に入り、医師という職業もだんだん身近に感じできて、まだ実感が湧かないものの、自分も順調に行けばあと2年でその医師となる身となった。今の身分から医師を見ると、その専門性の高さは、やはり子供の時に想像していたものとは全く違うものだ。例えば消化器外科と一口に言っても、各臓器に専門家がいる。整形外科の「下肢」でも股関節、膝、足と分類されていることも臨床実習を通じて知ったことだ。各分野にそれぞれ専門の医師がいるのは効率がいいと考えるが、それで余計に全身をフォローできる形成外科を魅力的に感じた。』(2017年18班 I.H.くん)

■『形成外科の技術によって、病気になる前と大きく変わらない生活が出来るようになったり、変わったとしても負担の少ない生き方のサポートが出来たりすれば、それこそが患者を治して、真に患者の人生を救ったと言えるであろう。また、病気や事故で、体の機能や外見が変わってしまったとしても、形成外科で何かしらなすすべがあるというのは、患者にとって大いに救いであり、救いとなるに違いない。』
(2020年13班 Y.N.さん)

■『(岩平先生の「ブラック・ジャックになりたくて 形成外科医26の物語」)乳房再建の話では、いくつになっても女性としての美を追求する患者さんの権利とそれを全力でサポートする形成外科医の様子が、単に病気を治すだけにとどまらない治療としての美しさを感じました。実際、私の母も乳がんを患い、片方の胸がありません。今でこそ吹っ切れていますが、はじめは、毎年家族で行っていた温泉旅行も渋っていました。再建はしていませんが、日常のファッションや旅行などの楽しみが減ってしまうほどに、女性にとって胸は大切なものであるのだと、幼心に思った記憶があります。男性や、価値観の違う人からしたら、「贅沢」ともとらえられるかもしれないし、命にかかわるものでもない。けれど女としての命をあきらめたくないという患者さんの心の叫びを、胸という形として実現できることは、とても素晴らしいことであると感じました。』
(2020年16班 T.N.さん)

■『(この本を読み)、形成外科医としての生き方の例の一部を垣間見ただけだが、多くの人や人生を知り、関わったような感覚になれる本だった。医師として患者へ向き合うということは、その人の人生と向き合うことに近いということを学び、自分自身もそれを理解し今後に生かしていこうと思った。』(2016年13班 S.T.くん)

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形成外科ポリクリ学生さんの感想文から
見えてくること・・・その5

■『医師の仕事とは、単に”命を救う”だけで良いのだろうか。根治治療は、たしかに生命に直接関わる部分であるが、根治治療が成功したとしても、その後の人生のQOLに大きく響く問題があっては、命こそあれ患者にとって生きやすい人生ではない可能性がある。例えば生活の質が大幅に落ちたり、人の助けが必要であったりする場合は非常に多く、その場合には患者の自立した豊かな生活が維持されない。それでも命だけが救われればいいのかというと、そうは思えない。やはり患者がよりよく生きていくためのサポートは医療側でできる限りするべきだと考える。』(2020年13班 Y.N.さん)

■『形成外科は日本では遅れている分野であり、形成外科という科に対する世間の理解が未だ浅いということが分かった。これは他ならぬ私もその一人で、形成外科という科のイメージがはっきりしないままこの臨床実習を迎えた。しかしこの度、実習やこの本を通じて、形成外科が実際にどういう内容の仕事をしているのか、患者とどのように関わっているのか等を知ることが出来た。また、教授も仰っていたが、形成外科は様々な科との横のつながりがある、ということで、非常に重要な役割を担っていることが分かった。』(2016年5班 I.K.くん)

■『実習でマイクロサージャリーを見学し、繊細な手技に感動した。使用する針や糸は大変小さく、それらを器用に淡々と扱っている執刀医の姿がとてもかっこよく感じたのを覚えている。今回のポリクリでは、形成外科という診療科について理解を深めることが出来た。今後、ポリクリで他の診療科を周ってたくさんの手術を見学していくが、そこで今回理解を深めた知識が生かせるようにつなげていきたいと思う。』
(2020年17班 M.Y.さん)

■『(岩平佳子先生の「ブラック・ジャックになりたくて 形成外科医26の物語」を読んで)形成外科医の仕事は、悪い部分を治すのではなく、患者の希望を叶えることだと分かった。そこに著者が想いを注ぐ理由があるのではないかと思う。仕事に愛情をもって自分から学ぼうとする姿勢が大切だと感じた。』(2020年13班 K.N.くん)

■『(岩平佳子先生の「ブラック・ジャックになりたくて 形成外科医26の物語」を読んで)形成外科という診療科は何をする科なのかと考えたとき、眼科は目、整形外科は骨や筋肉、小児科は子供というように自分の中で一言ではうまくまとめられませんでした。この本を読んでみて形成外科は多くの診療科をオーバーラップしていて何か一つの領域を扱う診療科ではないことを学びました。・・・・医療の現場では患者の治療ばかりに目が行きがちで実際私もそうでしたが、このように医師にとっても成長となる場であることを学びました。形成外科医がどのような疾患に関わっているのか学ぶことが出来ましたし、現場だからこそその患者の悩みや葛藤、喜びなど病気を持った人の気持ちを知ることが出来ました。最後に、このような本を読む機会を下さりありがとうございました。』
(2016年11班 H.S.くん)

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形成外科ポリクリ学生さんの感想文から
見えてくること・・・その4

■『ある患者のために唯一の手術計画を考えるということが、形成外科の魅力であると感じた。』(2018年8班 O.R.さん)

■『(岩平佳子先生の「ブラック・ジャックになりたくて 形成外科医26の物語」を読んで)形成外科医の先生がどのような仕事をしているかを知ることが出来たと同時に、患者さんと良好なコミュニケーションをとり、少しでも患者さんの気持ちを汲み取れる医師を目指したいと改めて感じました。』
(2020年10班 F.Y.さん)

■『(この本を読んで)乳がんにより乳房切除を受けたなら、医学的にみれば治療は終了しています。しかし、患者さんにはこれだけでは元の生活水準まで戻ったとは言えず、時に苦しみを伴います。そんな患者さんを救うのが形成外科医です。本を読んだおかげで、実習期間ではとても知ることの出来なかった数々のエピソードを知ることが出来ました。他の診療科と毛色は異なりますが、形成外科は、より患者さんの心情に寄り添った科だと重いました。』(2016年11班 H.K.くん)

■『患者さんの気持ちは十人十色である。自分の価値観で物事を判断せず、患者さんを最大限まで尊重していかなければならないと考えさせられた。またそれこそが形成外科のプロフェッショナリズムなのではないだろうか。』
(2020年19班 N.Y.くん)

■『形成外科の行う医療は、病気だけなくその患者の生活やバックグラウンドを考えて施行されるものであると知り、そのことが患者のその後のQOLに直結すると知ることが出来た。これまで命を救うことが全てと思っていた自分にとって、この実習は新しい発見の連続だった。命だけでなく、その後の生活まで考えることが出来る医師になりたいと思った。』
(2016年8班 H.K.くん)

■『僕の中で、形成外科は美容のイメージが強く、再建外科としてのイメージはあまりなく、乳房の再建は乳腺外科がしたり、皮膚の移植は皮膚科がしたり、耳の再建は耳鼻科がしたりするものだと思っていたが、すべて形成外科の範囲だったことに驚いた。』(2016年5班 F.A.くん)

■『実習を通じて、形成外科とはどのような科であるのか、どんなことをしているのかといったことが少し理解できたと思いました。眼科なら目を、耳鼻科なら耳を診察するし、内科や外科も、循環器、消化器などに細分化される中にあって、形成外科医は全身の各所を診察し、いろんな科とオーバーラップして患者の診療に当たっていることを知り、各科の穴を埋めるような重要な役割を担っていると感じました。』
(2016年8班 O.M.くん)

■『小耳症や多合趾症、巨大色素性母斑などの先天異常の子供は、生まれながらにして他の子どもたちと違っていることで親や患者さん本人は様々な場面で嫌な思いを経験する。生きるのに支障がないのであれば、別に良いではないかという考えもあるかもしれない。しかし、生活の中で経験する嫌な思いは、その患者さんの人生の満足度に大きく影響すると思う。そこをケアすることが出来るのが形成外科医だと改めて実感した。普段イメージしている医師とは、命を救う・病気を治す者だが、他にも人生を豊かにするサポートをする大切な役割もあると感じた。』(2016年13班 S.K.くん)

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形成外科ポリクリ学生さんの感想文から
見えてくること・・・その3

■『生死には関わらない、他人から見たら大したことない傷でも、本人にとっては大きなコンプレックスや障害になりえ、その後の人生に大きな影響を及ぼすことも多くあります。そうした患者さんの思いに誠実に向き合い、人生をより良いものにする手助けをするという点に、形成外科ならではのやりがいがあるのだろうと感じました。
 実習の3日間形成外科について学び、形成外科の奥深さの一端を知るとともに、失ってしまったものを新たに作り出すという創造性に、他の科に無い魅力を感じました。また、医療とは疾患の治療に限るものではないということを知り、医学生として視野が広がりました。短い期間でしたが、自分にとって大変密度の濃い実習でした。』(2016年8班 A.A.さん)

■『形成外科は他の診療科に比較して、術後に患者が持つ満足度に大きく評価が関わる科である。そしてその点が難しく、またやりがいももたらすのではないかと推測する。
 思えばすべての診療科においてこの患者の満足度という観点は、もっと重視されるべきであると思う。・・・医療はサービス業の側面を持つ以上、病気を治すだけでなく、毎日が楽しく過ごせるようにすることを目標とすべきではないか、と若輩者ながら感じた。』(2016年13班 T.Y.くん)

■『実習中に微笑血管吻合などのマイクロサージャリーに特に興味を持ちました。・・・もし自分がマイクロサージェリーを自身のスキルとして身に着けることができたならば、その高いレベルの技術を用いることで、形成だけでなく幅広い科にまたがって活躍できる医師として、AIの発達が目覚ましい医学分野において自身の役目を果たし続けることが出来るだろうと思います。』(2019年14班 U.W.くん)
(※微笑血管吻合とは,「微小血管吻合」のことと思われます)

■『(岩平先生の「ブラック・ジャックになりたくて 形成外科医26の物語」を読んで)形成外科医として出会った症例についてのエピソードもたくさん語られており、本当にいろいろな患者と向かい合ってきたことが分かると同時に、それはつまり全身多種多様な疾患を相手にできる形成外科の特徴故であると思えた。
 たくさんの患者の話を聞き、それぞれの患者の悩みの原因を自らの手で治すことができる形成外科は、とてもやりがいのある仕事だと感じた。正直、今まで形成外科は具体的に何をしているのか、イメージしづらいところがあった。しかし、この作品を読み、岩平先生の経験、仕事内容について知ることで、具体的な部分が少し見えてきたように思う。』
(2016年1班 T.M.さん)

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形成外科ポリクリ学生さんの感想文から
見えてくること・・・その2

■『形成外科とは目に見えるものを変えるだけではなく、患者の心まで変える科であり、さらには人生まで変えてしまうような大きな役割を持っていると思いました。』
(2020年10班 Y.H.さん)

■『・・・一概に患者に携わるといっても、その年齢層は乳幼児から高齢者まで幅広い。そこに形成外科の醍醐味を感じた。ある意味で特定の領域を持たないことで対象となる疾患も多岐に渡り、内科、外科を問わず、このような科は他に無いように思う。』(2018年26班 H.K.くん)

■『特定の臓器ではなく、体表全体を診ることができ、外傷などの緊急の症例も、癌や先天異常などの緊急を要しない症例にも対応できることが形成外科の面白いところだと感じた。』(2018年26班 N.S.さん)

■『患者さんが病気や怪我で失った自身の見た目を取り戻そうとする行為は、思い通りに取り戻せたとしても取り戻せなかったとしても、私は素敵なことだと考えています。取り戻すチャンスを提供できる形成外科に、自分の経験と重ねて感謝もしていますし、直接命にかかわらないけれど患者さんが自信をもって生きていけるように支えることが出来る大切な科だと改めて感じました。自分が医師を目指すきっかけになった科でもあるので興味のある科です。』(2018年16班 S.K.さん)

■『乳房再建の手術を2件見学した・・・・素人で且つ男性の私からしたら、その作業は一見、こだわりすぎなのではないかと感じたのは確かだが、手術が終わった後に再建した乳房を見ると、見た目では健常者のものと変わりがなく、入念に確認した意味が実感できた。・・・こういった丁寧さが患者のQOLを乳房再建以前のそれに大きく近づけていると感じた。』
(2018年16班 T.I.さん)

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形成外科ポリクリ学生さんの感想文から
見えてくること・・・その1

■『形成外科の仕事は「マイナ0スをゼロにする」ことを目標とするものであると感じた。ゼロというのはいわゆる「普通」という意味で、その基準は患者個人にゆだねられる。患者さんの生活がよくなることを願って行われる手術は、患者さんの心を前向きにし、ゼロ以上、プラスにも傾けてくれるものなのかもしれない。』(2018年8班 N.H.さん)

■『世の中には何もしなくても命には関わらないけど日常生活、社会生活を営む上で障害となることを抱えて苦しむ方がいらっしゃって、そのような方を形成外科的なアプローチで生活の質を改善できる例がこれほどあるとは思っていませんでした。』(2018年5班 K.I.くん)

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